黒猫のワルツ

滅茶苦茶尖ってたわ

 

皆様こんにちは

LUKAでございます

 

 

私は若い頃から

同年代の人たちよりも

年配の人たちに愛される生き物だった

 

これがどうしてなのかは

いまいち自分では分からないけれど

やっぱりこちらが好意を見せれば

相手も好意を返してくれるって事なんですかね

 

とにもかくにも

私は幼い頃からずーっと

数多の年配の方々に助けられ

可愛がってもらう事が出来た恵まれた人間だと思っている

 

お爺ちゃんやお婆ちゃんが居なかった私にとって

優しく微笑んでくれる年配の人たち全てが

お爺ちゃんお婆ちゃんの代わりだったようなもん

 

 

お菓子をくれる人

頭を撫でてくれる人

声を掛けてくれる人

心配をしてくれる人

色々な昔話をしてくれる人

 

誰もが皆

私にとっても大好きな人たちである

 

 

これは歳を重ねてからも変わらず

年配の人からあまり露骨に嫌われた事は無いし

私自身も「この人嫌い!」と思うような年配の人というのは

存在しない

 

中には偏屈な人も居るんだけれど

それでもやっぱり会話を重ねて笑顔を向け続けると

仲良くなれるものだから不思議である

 

若い世代が相手だと何故かこうはいかない

 

何度会話を重ねても理解し合えないものはし合えない

 

 

歳を取ると頑固になるなんて話も聞くけれど

それは中年辺りまでの話であって

定年過ぎくらいまで歳を取ると

何かもっと違う性質になるんじゃなかろうか

 

『丸くなる』とはちょっと違うけれど

それに似た寛大さみたいなものを持っているような気がする

 

 

そんな訳で

 

もうすっかり中年の私だけれど

 

 

やっぱり高齢の方々からお菓子を与えて貰っちゃっている

 

 

仕事で車に乗ってお出かけし

集金やら書類のお届けやらで

あらゆる場所に出入りしているんだけれど

 

それらの会社やなんかには必ず一人以上は

定年を過ぎた年配の方々がいらっしゃる

 

 

そしてそんな方々は

私に飴やらチョコやらを与えてくれるのだ

 

 

ある日の

とある会社へ訪問した時の事

 

 

私「こんにちはー!

  〇〇でーす!

  書類のお届けに参りました~!

  こんにちは!こんにちは!!こんにちは!!!」

 

 

こんな風に

顔が見える人たち全員に向かって挨拶をしながら進んで行き

担当者に書類を渡すと

奥の方から年配のお爺さんがやってくる

 

 

爺「ルカさんほれ!」

 

私「!!!」

 

 

両手いっぱいに色々な飴を持って近付いてくるお爺さん

 

このお爺さん

髪が真っ白で笑顔がとっても優しいのだ

 

特に目!

 

目がめちゃくちゃ優しい!

 

私を見つけた瞬間にゆるむその目元が大好き!

 

 

私「わぁーーーーい!」

 

爺「はいこれね

  持って行きなさいね」

 

私「ありがとうございますー!

  帰りの車で一個食べちゃおうかな!

  ぶどう!ぶどう味が好きなんですよ~」

 

爺「そっかそっか!」

 

事務「いっつもねぇルカさんにあげるって

   色んな飴買ってきてるんだわ~」

 

私「そうなんですか!?」

 

爺「今度美味しいせんべい買って来るから」

 

私「うわーーーいせんべい!!

  おせんべいも大好きですー!」

 

事務「なんかもールカさん可愛くて仕方ないみたいでねぇ」

 

爺「いやぁ良い子だからねぇ!

  なんか可愛くてねぇ!」

 

 

ありがとう!

 

『子』って歳でもねぇんだけどな!

 

私もお爺さん可愛くて大好きよ!

 

 

事務「ルカさんこの書類ちょっと時間かかりそう~

   10分くらい待てる?」

 

私「あ、それじゃあ近くでもう一件行く場所があるので

  そちらに行ってまた戻ってきます!」

 

事務「あ、おっけー!

   それまでに用意しておくね!」

 

爺「気を付けてね!」

 

私「はーいありがとうございますー!

  じゃあ行って来まーす!」

 

 

両手いっぱいの飴を握りしめて

ドアを背中で押し開けて出て行き

車に乗り込んだ私

 

助手席には

その前に集金に行った場所でお婆ちゃんから貰った

大福が8つも入ったパックが置かれている

 

今日もお土産がたくさんだ・・・!

 

会社の皆で食べよう!

 

 

上機嫌で車を発進させ

もう1件の用事を済ませた私は

 

再び先程の会社へやって来た

 

 

玄関で靴を脱いでスリッパに履き替えていると

 

 

中から怒号が響いてきた

 

 

男「だからおめぇの所とは二度と仕事出来ねぇって言ってんだごらぁ!」

 

 

な・・・何事・・・?

 

 

受け付け窓口に居る男性を見上げると

気まずそうに首を横に振っている

 

 

えっ?

 

 

私「入らない方が良いですか・・・?」

 

受付「いや・・・入っていいけど・・・

   怖かったらやめておいた方が・・・」

 

男「舐めた事言ってんじゃねぇぞごらぁ!

  それはそっちが勝手にやった事だろうが!

  今になって訳分かんねぇ事言ってんじゃねぇぞおらぁ!」

 

 

一体誰だ・・・?

この社内にここまで口が悪そうな人や

怒りそうな雰囲気の人なんて居なかった気がするんだけど・・・?

 

 

どうしようかな・・・

と一瞬迷ったが

次の用事はここからかなり離れた場所にある

 

後回しにしてまたここに来るのはなかなか面倒だ

 

サッと入って

サッと書類を受け取って帰ろう・・・!

 

 

私「じゃ・・・そろーっとお邪魔しまーす」

 

受付「うんうん」

 

 

そっと事務所のドアを開けて

小さな声で近くの人に挨拶をしながら

中腰の姿勢で進んで行く

 

 

私「お邪魔しまーす・・・お邪魔しまーす・・・」

 

 

皆神妙な表情をしている

 

それもそうだ・・・

 

事務所の奥からは

先程から聞こえていた怒号がまだ続いている

 

 

男「どこのどいつがんな事言ってんのよ!?

  てめぇん所が余計な事すっからだろ!!!

  こっちが上手くやってた事引っ掻き回すんじゃねぇよ!

  だから・・・△〇からもこっちにクレーム入ってんだよ!

  てめぇらん所のせいだろうが!!?」

 

 

いやいや・・・なんと恐ろしい・・・

 

触らぬ神に祟りなしとはこの事よ・・・

 

そっとね!

そーーーっと書類だけ受け取って・・・

 

 

中腰のまま

パーテーションの隙間から

先程の担当者を覗き込む

 

 

私「〇△さーん来ましたー(ひそっ)」

 

事務「あっ出来てるよー

   これと・・・これね・・・

   後これも持って行ってくれるー?(ひそっ)」

 

私「はいー確かにお預かりしましたー(ひそっ)」

 

事務「なんかごめんねー(ひそっ)」

 

私「大変そうですねー(ひそっ)」

 

事務「いっつもこうなんだってー(ひそっ)」

 

 

その時

担当の人が少しだけ立ち上がって後ろを見て

パーテーションの向こうを覗き込んだ

 

それを見て

思わず私も中腰の姿勢から立ち上がって

そちらを見てしまった

 

 

その瞬間

 

 

受話器を手にした

 

 

いつも優しい笑顔で私を見てくれるのに

まるで般若のお面ような形相になっているお爺さんと

 

 

目が合った

 

 

私「・・・・・・・・・・・」

 

爺「・・・・・・・・・・・」

 

 

その瞬間

 

 

怒号が止んだ

 

 

 

 

あれっ・・・?

 

も・・・もしや・・・

 

 

さっきまでの怒号は・・・

 

 

飴のお爺さん・・・!!!!!!!!?

 

 

怒る事なんて無さそう

とか思ってたけど

めっちゃ怒ってるやん・・・!!!

 

 

私「えっあれ?」

 

事務「すーぐ怒るの!

   いっつも怖い顔しててさ!(ひそっ)」

 

私「あれっ?」

 

 

あれぇぇぇ!!!?

 

いっつも怖い顔してるとかそんなバカな!

 

あんなあのお爺さん見た事無いんだけど!!!

 

 

爺「ま・・・まぁいいわ!

  とりあえずこの話の続きは・・・

  んあぁもう分かったって!

  また後でうちの行かせるから!」

 

事務「あっやばっ電話切ってこっち来るか(ひそっ)」

 

私「・・・・・えっあれっ

  あれ△△さんですよね・・・?

  えっ怒鳴ってたの△△さんですか・・・!?(ひそっ)」

 

事務「そっ!(ひそっ)」

 

 

気まずくてお爺さんの方は向けずに

担当の女性の方を向いたまま

固まる私

 

 

私「・・・・・・・・(あれぇぇぇ!?)」

 

 

そこへ

 

電話を切ったお爺さんが近付いてきた

 

 

来た!

 

えっ機嫌悪いの!?

ねぇおこなの!!!?

 

 

爺「ごめんねルカさん・・・!

  みっともない所見せたね・・・!」

 

私「・・・い、いえ!全然そんな!

  なんか大変そうでしたね!

  おっ、お疲れ様です!」

 

爺「いやいやいやいや!

  なんも大変じゃないんだよ!

  ちょっとねぇ面倒臭い事あっただけなんだよね!」

 

 

そ・・・そうなんだ・・・?

 

・・・ちょっと?

ちょっとどころじゃない雰囲気でしたけどね・・・!?

 

 

そのお爺さんの表情は

 

いつもの優しい表情だった

 

 

えっ・・・あのっ・・・そのっ・・・・

 

 

情緒不安定なんですかぁああ!!!?