黒猫のワルツ

とりあえず孫にしてくれ ~その2~

 

皆様こんにちは

LUKAでございます

 

 

さて

昨日の記事に引き続き

じっちゃんのお話

 

 

数週間前にもまた

仕事を終えた後に修理室でじっちゃんを眺めていた私

 

 

分解した機器の鉄板部分にオイルをかけて

マイナスドライバーで錆を落としていくじっちゃん

 

近くにそっと雑巾を置いて

分解された部品を色々な角度から眺める私

 

 

お手伝いをしたい・・・が

 

邪魔になったら怒られる可能性もあるので

バレない程度に

『雑巾を用意しておく』

『使いそうな工具を静かにじっちゃんに寄せておく』

みたいな事しかしていない

 

 

じっちゃん「あぁーこれもまたすげぇな錆がよぉ」

 

私「・・・・・・・・・・」

 

じっちゃん「全部とっかえっか・・・」

 

 

分解したパーツを

大きな作業台の右側から順番に並べて行くじっちゃん

 

それを一つ一つ眺める私

 

こうやって外すのか・・・

これとこれがこうなって

そしたら次にこれがこうなって・・・

 

あぁでもパーツ同士が錆てくっついて取れなくなってんだろうな・・・

 

 

じっちゃんは修理をしている最中

集中しているせいでほぼ周りは見えていない

 

 

そーーーっと

後ろの方にあるこまごまとした部品類が入っている箱に手を伸ばし

自分が座っている椅子の下に引きずって移動させ

 

そーーーーーっとその中から

錆びて使えなくなった部品と同じ形

同じサイズの物を探す

 

 

ナットはこれ・・・

継手はこれ・・・

ネジ類はあっちの棚のあの箱に・・・

それからそれから・・・

 

 

幼い頃

母の内職を手伝っていた時の事を思い出す

 

お菓子が入っていた大きな缶の中に

びっしりと詰め込まれたボタンの中から

母が指示した通りのボタンを言われた通りの数探し出す

 

サイズが違っても

ツヤが違っても

色が違ってもダメ

 

 

 

集めた部品を作業用テーブルの下に隠れた

自分のスカートの上に並べ

 

一つ一つ組み立てていく

 

 

ここはもう組み立てておいて大丈夫

 

こっちはあそこと繋げるからダメで

あれとこれはもう繋げて大丈夫でしょう・・・

 

それからさっきじっちゃんがポイってやったのは

多分これとこれ組み合わせたやつだと思うんだ

サイズは・・・これのはず・・・!

 

後は多分

じっちゃんここも綺麗にしたいと思うから

紙やすり用意しておいてあげて・・・

 

 

繋げた部品を

作業台の上にそっと使う順番に並べて行く

 

そしてそーっと

錆びて使い物にならなくなった部品を

じっちゃんから少し遠ざけた位置に置いた

 

 

これで分かってくれるかな・・・

 

じっちゃん怒るかなぁ・・・

 

間違ってないと良いなぁ・・・

 

全ての分解作業が終わったじっちゃんは

ふぅーと大きく深呼吸をした

 

 

じっちゃん「あーゆるくねぇなこんなに錆びてると

      あっちぃわぁ

      したら次はぁ・・・?」

 

私「・・・・・・・・・・・」

 

じっちゃん「・・・あ?」

 

私「・・・・・・・・・・・・・」

 

じっちゃん「んぁ???」

 

私「・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

じっちゃん「なんだこれ・・・

      あっこれ・・・!」

 

私「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

じっちゃん「いいねぇ」

 

私「!!!」

 

じっちゃん「いいんでしょ・・・合ってる合ってる

      ・・・ふぅーーーーん

      こりゃ助かるわ」

 

私「!!!!!」

 

じっちゃん「あんね

      じゃーちょっとこれさ・・・

      こっち来て」

 

私「!!!!!!!!」

 

じっちゃん「これ洗ってくれる?」

 

私「はい!!!」

 

じっちゃん「あれだ・・・その恰好だと・・・ちょっと待ってな

      本当はあれあるんだ俺使ってねぇけど・・・

      前掛け・・・どこ行ったかなぁー・・・

      あーあったあった!」

 

 

じっちゃんは

修理室の奥の方から大きな前掛けを持って来てくれた

 

 

これ

私が寿司屋で使ってた前掛けと同じだ・・・!

 

 

じっちゃん「でけぇか!引きずるな!」

 

私「これここで折って

  ここ一周させて紐縛れば大丈夫!」

 

じっちゃん「おぉーーー?

      なるほどね」

 

 

えーっと

これを洗う時はじっちゃん

このたわしを使って一回洗ってからー

このオイルをぶっかけてー

マイナスドライバーでガリガリゴリゴリ錆落としてー

そんで一回洗ったらこのブラシでこすってー

そしたらこの超強力洗剤ぶっかけてこのブラシでこすってー

お湯をかけて洗ってー!!!

 

 

顎から汗がぽたぽたと落ちる

 

けど

 

楽しい・・・!!!

 

 

15分ほどかけてじっちゃんに言われた作業を終えた私は

ぴっかぴかになった部品を雑巾で綺麗に拭いた

 

 

私のその様子を恐らくちらちらと見て確認していたのだろう

作業の手を止めたじっちゃん

 

 

じっちゃん「あんたほんとに見て全部覚えてんのかい

      しょっちゅう来てはなぁに見てんだろうと思ってたら」

 

私「見てるだけで楽しくて!」

 

じっちゃん「あーそ・・・」

 

 

それからまたじっちゃんは静かに作業を再開

 

使った場所をじっちゃんがやっているように

綺麗にお掃除して椅子に腰かけ

再びじっちゃんが部品を組み立てていく所を眺める

 

 

19時を迎えて帰宅し

また数日後に仕事帰りに修理室へ立ち寄り

同じようにじっちゃんのお手伝いをする

 

そんな事を何度か繰り返した先日の事

 

 

じっちゃん「あんたあれだ・・・」

 

私「・・・・・・・・・・・・・」

 

じっちゃん「こういう仕事の方が向いてんじゃないの」

 

 

それ・・・言っちゃう?

 

事務員になる前まで

職人気質な仕事ばかり選んでいて

ようやく落ち着いて事務員らしく生きられるようになってきた所なのに

それ言っちゃうの???

 

確かに好きなんだけどねぇ・・・!

 

好きだけど

好きだけじゃやっていけねぇ事もあるんですよ!

 

何より

好きを仕事にすると無自覚で無理しまくっちゃうじゃない!

楽しくて夢中になって身体壊すもの!

 

 

じっちゃん「・・・俺も歳だしなぁ

      どうにかして後継育てろってもう何年も前から言われて

      したけどまともなの来ねぇのよ

      今のあれもまぁ・・・なんだ・・・

      見て覚えるとか・・・工夫してやるとか・・・

      そういうのがねぇんだよなぁ・・・」

 

 

ぽつりぽつりとじっちゃんが話す言葉を

いつものように静かに聞いている私

 

 

じっちゃん「・・・・・・・・・・・・

      あんた・・・俺の後やるかい?」

 

私「!!!!!!!!」

 

 

あっ!!!!!!

 

やばぁっ!!!!!!

 

 

 

現在私が居る会社では

 

①社長

②会長一派

③事務一派

④帳場一派

 

この4つのグループで

私になんの仕事をメインでやらせるか揉めている

 

私が「これしかできません!」「これしかやりたくありません!」

というタイプだったらこうはなっていなかっただろう

 

とりあえず

言われた事はなんでもやってたら

揉めまくる結果に陥った

 

 

そこへじっちゃんまで参入したらどえらい事になんぞ・・・!!!

 

 

私「そ、それは何というか・・・

  ものすごく・・・面倒な事になると・・・!」

 

じっちゃん「あぁ?

      あぁーあれか?もうなんか揉めてるらしいからな・・・

      いやーそうか・・・

      あんたがやるって言ってくれりゃ

      俺としても・・・助かるんだけどね」

 

 

やりたいよ!!!?

 

一番やりたいのは多分これ!

 

 

ただじっちゃんの仕事って

替えが絶対利かないやつじゃん・・・

 

じっちゃんが引退した後私一人で残されて

私に何かあったらどうしようとか考えると恐ろしいよね

 

せめて2人くらい居る状況下でなら

やっていけそうな気がしないでもないんだけど・・・

 

 

いやそもそも

会長と社長がうんとは言わないな

 

 

あーあ・・・

じっちゃん

私もじっちゃんと一緒に仕事がしたかったよ・・・

 

私の母も

時計の修理をしている父(私からすると祖父)を

じーっと見つめているのが楽しかった

なんて言ってたけれど

 

私は完全にその血を引いているようだ

 

 

こういう細かい作業に興味があるんだろうなぁ

 

 

じっちゃん「あんた余計な事喋らんし

      落ち着いてていいと思ったんだけどな・・・」

 

私「!!!」

 

 

えっ

 

 

じゃあじあじっちゃぁぁーーーん!

 

 

私を孫にするって事で手を打ちませんか!!!!?