黒猫のワルツ

宝物を奪う悪人

 

皆様こんにちは

LUKAでございます

 

 

先日記事にしたんですが

スーパーで耳の遠いお爺さんと関わる機会がありまして・・・

 

レジの所で中年男性に虐められちゃってたお爺さん

 

その後スーパーのカゴを持ったまま

スーパーの外へ歩いて行っちゃったから

追いかけてカゴの中身をレジ袋に入れて渡してあげた

っていうね

 

 

あの時

 

結構色々大変だった

 

 

レジ袋を持って全力疾走でお爺さんを追いかけて

追い付いた所までは良かったんだけれど

 

あのお爺さん多分もう若干認知症っぽかったんじゃないかなぁ

 

 

私がどんなに大きな声で

「それはスーパーのカゴだから持ってきちゃ駄目!」

という事を説明しても

全く理解してくれなかった

 

 

私「これ!店に戻さないと!

  袋あげますから!

  これに入れて持って帰りましょうね!」

 

爺「・・・・・・・・・あぁ!!?

  なんで!!?」

 

私「(えっなんでって・・・なんでって聞かれましても!?)

  こっ・・・このカゴは!

  お店の物だから!?」

 

爺「店ぇ!?どこの!!!?」

 

 

お前が今買い物してた店のだよ!!!

 

 

まぁーこれで良く『レジでお金を支払う』という所まで

クリア出来ていたもんだと感心せざるを得ない

 

こんな状態だったらもう

商品を手に持ってそのまま家帰りそうなもんである

 

 

私「そこ!!!(思わず笑う)」

 

爺「・・・あー!!!

  どうしたって!?」

 

 

コントかよ・・・!

 

 

5分ほど必死に説明したけれど

埒が明かないもんだから

レジ袋を広げてお爺さんが持っているスーパーのカゴの中身を

勝手にレジ袋に入れ始めた私

 

かなり動揺した様子でお爺さんが嫌がるそぶりをしたが

 

 

私「大丈夫!

  とらないから!!!」

 

 

と必死に目を見て話しかけつつ

数少ないカゴの中身をあっという間に袋に詰め替えて

お爺さんの手を握って

お爺さんにレジ袋を持たせた

 

 

私「ほら!ね!大丈夫でしょう!!?

  これでもう持って行って良いから!」

 

爺「・・・・・・・・・・・・・」

 

 

全然伝わってねぇわこれ・・・!!!

 

 

道行く人たちが訝し気な表情で私とお爺さんを見て

お爺さんが手に持ったカゴを見て

ようやく目をそらして立ち去って行く

 

そう・・・!

そういう事よ・・・!

 

え・・・多分分かってくれてるんだよね・・・?

 

 

 

カゴがカラになったから

ようやくカゴをお爺さんから回収して

お店に戻しに行こうと思ったが

 

そこからがまた大変だった

 

 

お爺さんは右手でカゴを持っており

左手にレジ袋

 

私が両手でカゴをお爺さんから受け取ろうとするが

 

 

 

お爺さん

 

ガッ・・・・・ッシリカゴの持ち手の所握ってて

全然離そうとしねぇの・・・!!!

 

その握力たるや想像を絶する強さよ・・・!

 

 

私「グッ・・・

  ・・・・・・・・・・!!!?」

 

爺「・・・・・・・・・・・・・」

 

私「ちょ・・・お爺さん!?

  あのね!このカゴ!

  私戻しておくからね!?

  グッ!グッ!」

 

爺「・・・・・・・・・・・・・・」

 

私「これは!もう要らないよね!?

  グッ!グッ!」

 

爺「・・・・・・・・・・・・・・」

 

 

カゴの持ち手を握っているお爺さんの右手の拳は

そりゃーもうしっかりと握られているものだった

 

隙間なんて一切無い

 

全力で握っているんじゃねぇのかってくらいのガッシリ具合

 

 

私「お・・・お爺さん!!!

  これ離して!!?」

 

爺「・・・・・・・・・・あぁ!?」

 

私「これはお爺さんの物じゃなくて

  お店の物だから!

  返さないといけないの!!!」

 

爺「・・・・・・・・・・・・・」

 

 

ここで私

ある事を思い出した

 

それはまだ私が幼い頃の事

 

家に居た両足の膝から下が無いお婆ちゃんが

時折私にお小遣いをくれようとした

 

小さな小さな小銭入れから

小さく小さく折りたたまれた千円札を取り出して

小刻みに震える手でそれをゆっくり広げ

 

その小さく骨ばった手で

千円札を私に向かって差し出す

 

 

それを受取ろうと千円札に私が手を伸ばして掴むんだけど

 

 

お婆ちゃん

 

 

全然千円札離さないのね・・・!

 

 

めっちゃ強い親指と人差し指の力で千円札をつまんでいて

私が引っ張った所で抜き取れるレベルじゃなかった

 

 

あれは多分故意にやっているんじゃなくて

歳を取るとそういう現象というか・・・

手の神経とか脳の神経とかそういうのが関係して

離そうと思っても上手に良いタイミングで離せず

物凄い力が入った状態になってしまうんじゃないかと思うんだけれど

 

当時まだ幼かった私は

あれに大層困惑した

 

「えぇー!?くれるのくれないのどっちー!?」ってなった

 

 

今まさに

同じ状況に陥っている気がする

 

お爺さんは多分

このカゴを離したくなくて離さない訳じゃない

 

ただ握ってしまっているから

何となくそのまま握りしめているだけのような気がする

 

 

こういう時は無理に引っ張ったりせず

離すまでじっと待ってる

それが最善・・・

 

 

私「・・・・・・・・・・・・・」

 

爺「・・・・・・・・・・・・・」

 

 

スーパーのカゴの取っ手を持ったまま

歩道の真ん中で向かい合って固まっている私とお爺さん

 

 

シュール

 

 

私「・・・・・・・・・・・・・・」

 

爺「・・・・・・・・・・・スッ」

 

 

ようやくカゴから手を離した!!!

 

うぉおおーーーーやったぁぁあ!

やっと!

やっとこの恥ずかしい状況から脱出出来る!

 

めっちゃ目立ってたじゃんさっきからさぁ!

道行く人皆見てたで!!?

 

 

私「よし!

  じゃあカゴ戻しておくからね!

  気を付けて帰ってね!」

 

 

さすがに家までは面倒見れねぇから

頑張って自力で帰るんだぞ!

 

 

爺「あぁ

  はい」

 

 

最後の最後にめっちゃ良い返事したじゃん・・・

可愛過ぎかよ・・・

 

 

こうしてようやくスーパーのカゴを取り戻した私は

再びスーパーへ戻って

カゴを店内のカゴ置き場に戻して

自分の車に戻る事が出来た

 

 

お年寄りが手をなかなか離さないあれには

何か病名とかがあったりするんだろうか・・・

 

どういう仕組みであぁなっちゃうのか

子供の頃から不思議で不思議で仕方なかったっけなぁ・・・

 

 

車のエンジンをかけながらそんな事を考え

 

幼い頃私がその質問を母にした時に

母が答えてくれた内容も思い出した

 

 

母「本当はお金あんたに渡したくないから

  手ぇ離さないんだよ」

 

 

も・・・

 

もしあれが本当だったとしたら

 

 

めっちゃあのお婆ちゃん可哀想だったじゃん・・・!!!

 

苦渋の選択で

この小さな子供にお小遣いをあげるお婆ちゃんとか

想像したらやべぇよ・・・!

 

 

そしてさっきのお爺さんも

 

 

カゴ奪い取ってごめんよぉおおおーーー!!!?