黒猫のワルツ

あの15分は何だったんだ

 

皆様こんにちは

LUKAでございます

 

 

先日の仕事帰り

いつも行くスーパーへお買い物に行った時の事

 

入ってすぐの場所にある野菜売り場で

野菜をあれこれ見てカゴに放り込み

 

お刺身コーナーに差し掛かり

値引きのシールが貼られているお刺身を見ていた私は

 

 

ふと

 

ある事に気が付いた

 

 

 

私の左斜め後ろに

 

私の腰の辺りまでの身長の男の子が

お菓子を手に持って立っていたのだ

 

そして更にその少年の後ろには

更に小さな女の子

 

 

少年の方は小学校低学年

少女の方は幼稚園児くらいだろうか・・・?

 

 

2人の子供の周りには

家族と見られるような大人は一人も居ない

 

 

・・・・・・・・・・???

 

 

ここにはお刺身コーナーしかないけれど

ここを見たいのかい・・・?

 

私の左斜め後ろで順番待ちをしているのだろう

と考えた私は

ツツツッと右にずれた

 

すると

その空いた場所にスッと入り込む少年

 

 

興味が無さそうにお刺身を見つめている

 

 

お母さんから何かお買い物を頼まれたのだろうか・・・?

 

困っている様子なら助けるけれど・・・

 

 

少年はただ無言でお刺身が入ったパックを見つめ

 

少女は

陳列棚に身長が届いていないので商品が見えないのだろう

 

少年の腕の辺りの服を掴んだまま

どこかよその方を向いている

 

 

不思議な子供たちだ・・・

 

 

とりあえず

1つお刺身のパックを手に取ってカゴに入れた私は

次は卵をカゴに入れ

 

お味噌を求めてメインの通路から外れ

狭い通路へ入って行った

 

 

お味噌お味噌・・・あぁこれこれ!

 

 

味噌に手をかけたその瞬間

 

少し奇妙な感覚に陥った

 

 

あれ・・・?

 

 

味噌を手に取り

左手に持ったカゴに入れるついでに

左の方を見ると

 

 

先程の少年と少女が立っているではないか!!!

 

 

しかも少年の方は

割としっかりと私の方に身体を向けている

 

身体は私に向けて

頭は棚の上の方を見ている

 

 

んんんんん!!!?

 

 

何とも言えない奇妙さを感じながらも

その列での用事を終えた私は

次はジップロックの袋を求めて

先程うっかり通過してしまった通路に戻る

 

 

き・・・来てる・・・

 

 

そんな予感がする・・・

 

 

ジップロックを取り

振り返らずに進む

 

え・・・えーーーっと・・・次は・・・

 

えっと・・・・・・・

 

 

 

え!!!?

 

なんでついて来てるの!!!?

 

 

そう

 

少年と少女は

私の1.5メートルほど後ろを

2人揃ってついて来ているのだ・・・!

 

 

なんだこれ!!?

 

絶対明らかに私について歩いているぞ・・・!!?

 

 

刺身コーナーはただの偶然だっただろう

 

だけど味噌の辺りからおかしかった

 

 

味噌の後のジップロックはもっとおかしい

 

だって

間違って通過しちゃった所に戻ったのに

それでも後ろにぴったりついてくるとか

もはや私についてきている以外の何物でもないだろ・・・!

 

 

動揺のあまり

何を買うんだったかちょっと忘れ

とりあえずお肉のコーナーへ行った私

 

 

私が豚肉を選んでいるそのすぐ左隣に

 

 

 

まるで私の子供のように立っている少年と少女

 

 

 

・・・・・・・・・・・

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・あれ

 

 

もしかして私の子供かな!!!?

 

 

周りから見たら

どこからどう見ても私の子供のように見えるだろう

 

そして

本当の子供たちの親から見たら

私は人さらいのように見えるだろう

 

 

なんだこの状況!

 

どうしてこの子達は私についてきて・・・ハッ!

 

 

まさか

 

私とお母さんの姿形が似ていて

間違えてついて来ている・・・?

 

 

そう考えた私は

 

お肉を見ながら独り言をつぶやいた

 

 

私「うぅーん

  どっちが良いかなぁー?」

 

 

そして

 

少年の方を見た

 

 

私を見上げている少年とばっちり目が合う

 

 

私「どっちが良いかなぁ?」

 

少年「・・・・・・・・・・・・」

 

 

さぁどうだ!!!

 

私が君のお母さんじゃないという事に気付いただろ!!?

 

 

 

しかし

 

 

 

少年

 

完全に無反応

 

 

そして

目線を落として並んだお肉を見つめたまま

やっぱり私の隣から離れない

 

 

えぇぇぇぇ!!!?

 

やっぱりこの子たちって私の子供!!!?

 

うっそ私って子供居たの!!?

 

全然知らなんだ!!!

 

 

シングル!?シングルマザー!!!?

 

 

えっって言うかじゃあ今日ハンバーグとかにした方がいい!?

エビフライとハンバーグとかにしたら喜んでくれる!?

ママ大好き!って言ってくれる!!?

 

 

かなり混乱して

半笑いでお肉を持ったまま立っている私

 

 

一体何なんだろうこの状況・・・

 

 

そして周囲を2度ほど見渡した

 

 

あれかな?

 

モニタリングみたいなやつじゃないこれ?

 

「見知らぬ子どもが自分について来たらどうするか」

みたいなそういう企画じゃない?

 

 

それかあれ

こういう状況をわざとに作り出して

私が子供たちをさらおうとした瞬間に変質者扱いするやつ

 

何らかの罠としか思えない!!!

 

 

だけど

 

周囲をいくら見ても

この2人の子供の親の年齢として合致しそうな人が居ない

 

高齢者ばかりで

20代後半~中年辺りの年齢のお客さんが居ないのだ

 

 

なんだこれ・・・マジで訳が分からねぇ・・・

 

 

その後も

混乱しすぎて買うはずだったものを失念し

無駄に店内をぐるぐるぐるぐる歩き回る私

 

そんなぐるぐるぐるぐるにも

ぴったりとついて来る子供たち

 

それがより一層私を混乱させて

なお一層ぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐる歩く羽目になる

 

 

悪循環!!!

 

 

一度

お菓子コーナーを通過した時は

少女が少し立ち止まりそうになった

 

・・・が

お兄ちゃんが少女を無視して進むと

少女がポテポテと走ってお兄ちゃんを追いかける

 

 

私の子供・・・

ちょっと可愛いじゃん・・・

 

 

少年の方が持っているお菓子は

箱に入った小さなもので

多分玩具が一緒についているタイプのお菓子じゃないかな

 

それを一つだけ

大事そうに抱えてついて来ているのだ

 

 

もしかしたらお金が無いけど欲しくて欲しくて

こうやって人について歩いて

あわよくば買って貰おうという魂胆だろうか

 

もしそうだとしたらなおさら可愛い

 

賢い子は好きだよ!!!

そのくらい買ってあげる!

 

 

 

恐らく

15分かそれ以上スーパーの店内に居たんじゃなかろうか

 

いつもだったら5分くらいでさっさと終わる買い物が

何だか少年少女の安否が気になるし

混乱してしまって買う予定だった物が頭から抜け落ちたりして

とにもかくにも時間が掛かった

 

 

その間

 

「お母さんと一緒に来たの?

 それとも2人だけで来たの?」

 

という質問を少年に投げかけてみたけれど

 

 

完全に無視された

 

 

えっ

 

この子たち

他の人から見えてる?

 

私にしか見えていないとかじゃねぇだろうな?

 

 

 

ようやくレジに辿り着いた私

 

その後ろに

やっぱりぴったりとついて来ている少年少女

 

 

お菓子買って欲しいのかなぁ・・・

だったらほら

お菓子をレジ台にお出しよ・・・!

 

 

と思ったけれど

 

少年は静かに自分のポケットから

小さな小銭入れを取り出して待機した

 

 

えっ

 

 

思わず真顔になって真正面を見る

 

 

ん? 

 

どういう事???

 

 

店員「ご一緒ですか?」

 

私「!!!?」

 

 

一緒じゃない・・・!

 

一緒じゃないんだけど・・・

 

 

一緒じゃなくて良い・・・のか・・・?

 

 

少年「・・・・・・・・・・」

 

 

少年は小銭入れを持ったまま

じっとどこかを見つめている

 

少女は相変わらず

少年の服を掴んだままその辺をきょろきょろ見ている

 

 

店員「・・・・・・・・・・・」

 

私「一緒では・・・ない・・・?

  ・・・です」

 

 

私が買った商品のレジ打ちが終わり

清算が終わったカゴを持ってサッカー台へ移動し

少年を見つめる私

 

店員さんが

少年が持っていたお菓子のバーコードを読み取る

 

少年が小銭入れからお金を出して

レジ台の上に乗せる

 

 

えっ・・・!?

 

じゃあ何の為にあんな長時間

私の後ろをまるで私の子供のようについて来ていたの・・・!?

 

あれか!?

擬態的な!!?

 

子供2人だけで歩いていると変な人や

怖い人から声を掛けられてしまう可能性があるから

『お母さんと一緒です』という風を装ったのか・・・!?

 

だとしたらとんでもねぇ賢さの子供だな!!?

 

しかもあんなにぐるぐるぐるぐる歩いていたのに

それにずーっと付き合っていたなんて

忍耐力もすさまじくねぇか・・・!!?

 

 

店員「テープで良いかな?」

 

少年「・・・・・・・・・・・(こくり)」

 

 

お菓子を受け取った少年と少女は

 

 

サッカー台で不安気に見つめる私なんかにゃ目もくれずに

 

2人仲良く並んで

スタスタ歩いてスーパーを出て行った

 

 

 

・・・・・・・・・・・えっ

 

 

 

あっ・・・あの・・・

 

この僅か15分くらいで

私には若干君たちに対する母性的なものが芽生えはじ・・・・

 

 

えっあの・・・・

 

 

お・・・

 

お母さんここだよぉおぉおおお!!!!?

 

 

どうして置いて行くのーーーーーーーーーー!!!?