黒猫のワルツ

エメラルドマウンテン

 

皆様こんにちは

LUKAでございます

 

 

以前勤めていた会社よりも

圧倒的にガラの悪さが目立つ今の会社

 

 

とにかく人相が悪い

 

 

運転免許証の写真を見ると人相が悪い人

なんてのもよく聞くけれど

 

そういう問題じゃなく

 

常時人相が悪い

 

 

全員犯罪者のような顔をしている

 

 

そして更には

言葉遣いもやっぱり悪い

 

眉間にシワを寄せて

下から上へ舐めるように相手を見ながらの

「あぁん!?あに言ってんだおめぇよぉ!」が

ただの挨拶みたいなもんである

 

 

今まで辞めて行った女性たちの中には

こういった男性たちが怖くて辞めて行った人も居たらしい

 

 

だけど

私はこう・・・育った環境が悪かったからか

全く言葉遣いやガンつけに微動だにしない

 

むしろ幼い頃はそれが普通だとすら思っていた

 

 

グレまくっている兄

 

酔っぱらうと人格が変わって暴れる父

 

キレたら手や足や得物が飛ぶ母

 

 

こんな家族と暮らしていたのだから当然だろう

 

何が怖いって

全盛期のこいつらの方がよっぽど怖い

 

まるで獣と暮らしているかのようだった

 

 

 

そんな訳で最近

 

『うっかり若い新入社員を

 工具でぶん殴っちゃった作業員のおじさん』と仲良しになりました

 

1年くらい前に

新しく入社した若い兄ちゃんを

ついついこう・・・ね

工具でガツーン!とやっちゃったらしいんですよ

 

 

普通に傷害罪

 

 

なのでみーーーんな

このおじさんに怯えていて

話しかける時もいかにも嫌そうに

おどおどしておじさんの様子を見ながら話しかける

 

 

でもでもでもね!?

思うんですけど!

 

この作業員のおじさん

 

 

丁寧に接すると

とてつもなく優しい人なんです

 

そもそも

普段からだれかれ構わず暴力を振るうような人だったら

今この会社に居ないはずなんですよ

 

刑務所に入っているはずだ

 

つまり

 

殴るに至った何かがあったんでしょう

 

 

もちろん暴力は悪い事なんだけれど

人間どうしても許せない事があるとカッとなったり

殺意が芽生えたりする生き物じゃないですか

 

感情というものを持ってしまったばかりに

そういった事が起きてしまうのが人間だ

 

 

「あの人は暴力事件を起こした事があるから気を付けて!」

とかなり序盤に教えられた私は

その忠告を完ぺきなまでに無視して

毎日毎日元気いっぱいに挨拶をしていた

 

おじさんが挨拶を返してくれなくても

ひたすら笑顔で挨拶をする

 

 

私「おはようございます!」

 

おじさん「・・・・・・・・・・・(スッ)」

 

 

私「お疲れ様です!」

 

おじさん「・・・・・・・・・・・・(スッ)」

 

 

私「行ってらっしゃーい!」

 

おじさん「・・・・・・・・・・・・・(スッ)」

 

 

何度無視されても

絶対めげないもんね・・・!!!

 

 

言葉を交わさないと

その人の本質なんて分からないんだから!

 

 

これを繰り返す事1か月ほどで

ようやくおじさんは

私に挨拶を返してくれるようになった

 

 

私「おはようございます!」

 

おじさん「・・・おはよー(ボソッ)」

 

 

私「お疲れ様です!」

 

おじさん「・・・おつかれさん(ボソッ)」

 

 

私「行ってらっしゃーい!」

 

おじさん「・・・あー(ボソッ)」

 

 

これまで

誰とも挨拶を交わしていなかったおじさんと

めげずに挨拶を続けていた私の

大きな第一歩である

 

 

しかしこのおじさんは

徹底して誰ともまともに会話をしようとしない

 

たまに現場監督の男性と揉めて

ものっすごい罵声を浴びせる事があるけれど

 

・・・まぁなんだろう

 

こんな具合だ

 

 

おじさん「おめぇが今日だっつったんだろ!?

     だから今日行ったのに「聞いてねぇ」ってどういう事よ!

     おめぇちゃんと連絡したのか!!?」

 

監督「えっ・・・あっ・・・いやその・・・(完全にビビってる)」

 

おじさん「あぁ!!!?

     質問してんだからさっさと答えろや!」

 

監督「だっ・・・だからその・・・

   ちょっとまっ・・・」

 

おじさん「ほにゃほにゃほにゃほにゃ喋ってんじゃねぇぞ!

     何が言いてぇのか全然分からねぇって!!!」

 

 

これは多分なんだけど・・・

 

ビビっちゃってるのが悪い

 

 

相手を怖がって正面から接しないから

それが相手に伝わって

なお一層相手を怒らせているんだと思う

 

お互いに悪循環

 

 

 

そして1か月ほど前

 

私が仕事の事で質問があり

おじさんに話しかけた時の事

 

 

私「〇〇さん

  この日のこの部分こう書かれているんですが

  こっちの書類だとこうなっているんです

  どっちが正しいんでしょうか?」

 

おじさん「・・・あーこれな・・・」

 

 

そしておじさんは

書類を受け取ってスッと離れて行った

 

 

 

・・・・・・・・・・・え???

 

 

どういう・・・・・・・???

 

 

その日結局おじさんは私に声をかけてきてくれる事は無く

 

翌朝

 

 

私のデスクの上に

メモ紙に几帳面な文字で書かれた「返答」があった

 

 

直接言えよぉおおお!!!?

 

 

こっちがビビってたらビビってたで腹立つし

こっちがビビってなかったらビビってなかったでお前がビビるんかーい!

 

 

分からんでもないけどね・・・!?

一度そういう事件を起こしてしまった以上

人と接する時に身構える気持ちは分かる・・・!

 

更には皆から怖がられている現状で

もはや誰も信用出来ないみたいな気持ちもあろうよ・・・!

 

 

だけど

 

僕は大丈夫だから・・・!!!

 

 

何か気に食わない事があったら

工具で殴ってもいいから!

 

 

殴られた瞬間

もっとでけぇ工具で殴り返すから殴ったって良いんだよ・・・

 

 

 

その日の夕方

 

 

私「お疲れ様です!」

 

おじさん「・・・お疲れー(ボソッ)」

 

私「メモ見ました!

  ご返答ありがとうございます!」

 

おじさん「・・・・・・・あぁ」

 

私「でも口頭で良いですよ!

  これだけの内容でわざわざメモを書くのも面倒でしょうし

  直接お話しながら確認した方が

  お互いに詳細まで話せて良いと思うんです!」

 

おじさん「・・・・・・・・・・・・・」

 

 

おじさんは

 

口を半分開いたままの状態で私の目を見つめ

 

 

静かに何も言わずに立ち去った

 

 

 

さっぱりなつかねぇ動物みてぇな人だな・・・!

 

 

 

しかし

その翌日から

おじさんの態度は一変した

 

 

私「お疲れ様でーす!」

 

おじさん「疲れたわぁ」

 

 

!!!!?

 

 

私「前に腰を痛めた事があるって伺いました

  あまり無理はなさらないでください」

 

おじさん「おぉありがとー」

 

 

ここから

日々小さな小さな会話を繰り返し

 

時には仕事の事で

「これどうにかなんねぇのか!」

と文句を言われ

「面倒でもやって頂くしかないんです

 〇〇さんなら几帳面だし時間配分出来る方ですから

 出来ますよね?」

と説得して納得して貰い

 

時には

方向音痴で迷子になっちゃったおじさんを電話でナビゲートし

 

時には

私が人手不足で仕事を振る相手がおらず

困り果てている時に

自分の仕事を早く切り上げて戻ってきて行ってくれたり

 

時には

おじさんが怖くて堪らない人たちから

伝言板のように扱われ

おじさんはおじさんで

「なんっであいつらなんでもかんでもルカさん通すのよ!

 言いてぇ事あるなら俺に直接言ってくればいいべや!」と怒り

 

 

そしてついに

 

 

おじさん「あっちぃーーー!」

 

私「お疲れ様でーす!

  今日もあっちぃーですねぇ!」

 

おじさん「なぁー!

     若い頃だったらなんぼでも我慢出来たけど

     さすがにしんどいわ・・・」

 

私「しっかり水分とってくださいねー」

 

おじさん「あっ」

 

 

おじさんは

作業服のズボンのポケットをごそごそとやり

 

左のポケットから小さい缶コーヒーを取り出した

 

 

おじさん「やるっ」

 

私「!!!!!!!!!!!」

 

 

で・・・

 

 

デレたぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!

 

ツンデレおじさんが・・・

ついに・・・

 

ついにデレたぁぁぁぁぁあ!!!

 

くっそぉ萌えぇぇぇ!!!

 

 

おじさん「ちょっとぬるくなったかもしんないから

     冷やして飲め」

 

私「わぁーーーーい!

  ありがとうございまーす!」

 

 

これで・・・

 

これで社内の怖いおじさん全制覇だ・・・!!!

 

 

そう

他にも常時怖いおじさんはたくさん居た

 

居たんだけれど

割と簡単に一か月くらいで私を受け入れてくれた

 

やっぱ挨拶が重要な要素なんじゃないかなぁー

毎日元気いっぱいに挨拶していたら

邪険にされる事なんて無い気がしているし

工具で殴られる事も無いような気がする

 

しっかしまぁこのおじさんが一番時間がかかった・・・!

 

 

どうせ働くなら

誰とでも同じく笑顔で楽しく仕事したいもんね!

好き嫌いはあろうけど

挨拶はとっても大事な事だし

応えてくれなくても私は一方的に挨拶するよ!

 

 

おじさん・・・!

 

これからも

お互いに義理人情と礼儀を大事にしつつ

言いたい事ハキハキ言い合って

仲良く仕事していこうぜ・・・!!!

 

 

 

・・・・・・・・ただ

 

 

私は缶コーヒー飲めないんで

そのまま20歳の女の子にあげた

 

 

 

ごめーーーーーーん!!!