黒猫のワルツ

あんな究極の味いっそ知らずに生きたかった・・・!

 

皆様こんにちは

 

子供の頃

隣に住んでいた同級生のお母さんが

やたらとパンを作るのが上手で

 

朝からパンを作り始め

夕方頃にお裾分けで持って来てくれるパンが恐ろしく美味しく

『素人でもパンってこんなに美味しく作れるんだ!』

と勘違いした私と母は

 

 

小麦粉から

 

 

岩石を生み出すという錬金術を編み出した

 

 

錬金術師のLUKAでございます

 

 

 

母との料理の思い出はかなり多い

 

母は昔

家ではそれほど本気で料理をする事はなかった

そもそもまぁ・・・多分

貧困だったせいで色々な物は揃えられなかったんじゃないかな

 

駄菓子のビックカツを私に買いに行かせ

それを包丁で3つに切って

キャベツの千切りと一緒にお皿に盛りつけた事だってある

 

しかし

母はかつて料理の仕事に就いており

それにくっついて行って

料理をする母をじーっと見つめていた時期もあった

 

幼い私は母の華麗な包丁捌きに夢中だった

 

 

料理って不思議ですよね

 

キャベツとか人参とかさ

あんなごっつごつでそのまま食べたら美味しくない物が

調理をする事でものすげー美味しくなるじゃないですか!

 

そりゃーもう母の色々な料理を見て

自分でもそれを作りたくなったものだった

 

 

幼い頃から私専用の包丁を用意して貰い

少しずつ料理を覚えていく私

 

今では

料理のレパートリーも増えまくり

和食・中華・イタリアン・洋食

なんだって作れる気がしている

(パンはトラウマがあって挑戦する気にすらならない)

 

 

・・・が

 

そんな私には

『これだけは一生母に敵わねぇ!』

と思っている料理がある

 

きっと誰にだってあるんでしょうね

 

あるんでしょう

 

 

私がそう思っているのはこれ!

 

 

・スモークサーモンのマリネ

・お稲荷さん

・担々麺

 

 

母が作るこの3つが

くっそうめぇんだわ・・・!!!

 

 

貧乏だった我が家で『スモークサーモンのマリネ』が出るのは

年に一度あるかないかくらいの頻度だった

 

当時私が母をじーーーっと観察していた限り

使っていた調味料はこれ

 

①サラダ油

②酢

③砂糖

④塩

⑤胡椒

⑥スモークサーモン

⑦玉葱

⑧ピーマン

⑨人参

 

今時だとオリーブオイルで作るのかなぁ

 

でまぁこれだけ見ると

至って普通のマリネである

 

誰にでも簡単に作れる感じ

 

 

なんだけど

 

全然味が違うの・・・!!!

 

 

これまで私は

ありとあらゆる場所でスモークサーモンのマリネを食べた

 

だけどどれ一つとして

母の作るスモークサーモンのマリネに敵う物は無かった

 

甘すぎたり

酢が利き過ぎて痛り

何となくポイントの無い味付けだったり

後味が悪かったり

 

 

自分で作ってみても

なんっかこう・・・母の作るマリネの味には届かない

 

オイルを作っている時は

「これだ・・・!」

と思うんだけれど

いざ漬けた物を食べたらなんっか違う!

 

同じ調味料を使っているはずなのに

一体どうしてなんだろうか・・・!

 

 

私「あんたの作るマリネを作れるようになりたい

  何かコツはあるんだろうか」

 

母「油に酢と塩と砂糖と胡椒入れたら出来る」

 

私「・・・・・・・・・・・・」

 

 

くっそ・・・!!!

 

そんな事は分かってるんだよ・・・!

 

分量を教えろって言ってんだよ・・・!!!

 

 

ただ

私も料理をする際は分量とかは相当適当に作っていて

作り慣れた物だと味見をするまでもなく

ビシッと味が決まっちゃう

 

それがあまりにも目見当なので人に説明出来ない人間だ

これについては責められる気がしない・・・

 

 

 

そして『お稲荷さん』

 

これもうめぇんだわ・・・!

 

油揚げに味が沁みていて

その味の濃さが絶妙なのよ・・・!!!

 

過去に一度だけ

油揚げを煮ている時に目を離し過ぎて

焦げ臭いお稲荷さんを食べさせられた事があるけれど

その時以外はマジで最強のお稲荷さん

 

なんでよそで食べるお稲荷さんより美味しいんだろうな・・・!?

 

料理屋が作った料理の方が美味しい

ってのが普通だと思うのに

何故か母圧勝

 

母自身も料理の仕事をして

ホテルの厨房を一人で仕切っていた事もあるくらいだから

もしかしたら非常に舌が良いのかもしれない

 

 

・・・なんか先日実家へ行った時

「安い牛肉をしゃぶしゃぶにした」とか言って出された物は

臭みが凄くてとても食えたもんじゃなかったけど・・・

 

 

私「どうやってもあんたの作るお稲荷さんみたいな

  絶妙な味のお稲荷さんにならない」

 

母「冷えたら味が濃くなるから

  ちょっと薄めに作るといい」

 

私「・・・・・・・・・・・?」

 

 

いや

 

味付けを薄めに作ったら

冷えても薄いままになるんだが・・・?

 

 

 

そして最後が『担々麺』

 

これは母が中華料理屋の厨房で働いていた時に

たった!

たったの1度だけ作った事がある料理である

 

相当時間がかかっていたんじゃないかなぁ

 

半日かけて作った

みたいな感じだったと思う

 

 

それが

 

奇跡の味だった

 

 

口に入れた瞬間

 

「な・・・何という美味・・・!!!

 この世界にはこんなに美味い物が存在しているのか・・・!

 ふわぁぁぁうまっ!うっまぁぁぁああ!!!」

 

と思ったくらいに美味

 

あの時の

目玉が飛び出しそうなくらい美味しかった衝撃は

いまだに忘れられない

 

 

そしてあれから20年程が経つだろうか

 

結局私はいまだに

それ以上の担々麺に出会った事が無い

 

「〇〇の担々麺めちゃくちゃ美味しかったよ!」

という噂を聞いて担々麺を食べに行っても

あの担々麺を知ってしまっている私にはなんの感動も無い

 

「こんなもんか・・・」

もしくは

「こんなものは担々麺ではない」

である

 

 

母の味ってさ

いつ損なわれるか分からないじゃないですか

 

人はいつか死んでしまうものであって

いつまでも母の作る料理が食べられる訳じゃない

 

どんなに記憶に残っていて

どんなに焦がれようと

再現出来ず二度と食べられない味になる可能性は高い

 

母が死んでしまったら『幻の味』なのだ

 

 

だから

生きている間にその味を盗んでおきたいですよね・・・!?

 

 

私「あの担々麺どうやって作ったの?

  あれもう一度食べたいんだけど

  (そして作り方を見せてくれ)」

 

母「え・・・・・・・・・・?

  あぁー・・・なんか・・・あったかもねぇ?」

 

私「えっ

  いやいや!

  めっちゃ時間かけて作ってたじゃん!

  たった一度だけ!」

 

母「作ったような作ってないような・・・」

 

私「作ってたよ!!!!?

  奇跡みたいな美味さの作ってたよ!!!?

  どうやって作ったのよあれ!」

 

母「いやー・・・

  どうだったかねぇ・・・

  ・・・もう作った事自体あんまり覚えてないわ!」

 

私「・・・・・・・・・!!!」

 

 

 

本人が元気に生きていても

『幻の味』になる事ってあるんですね・・・!!!