黒猫のワルツ

人が住む所じゃない場所に住んでいる私

 

皆様こんにちは

 

会社のトイレのドアノブが壊れた

という報告を受けて

慌ててすっ飛んで来た大工のお爺さん

 

ドアノブを手に

「なんでこんな事になったんだぁ?」

と首をかしげているのを見て

 

「そりゃこっちのセリフだよ!!!」

と心の中で叫んだLUKAでございます

 

 

 

さて

皆様ご存知の通り

 

私が住んでいる場所は『山』である

 

 

私からすれば

静かで景色も良い最高の立地

 

何よりも

山が大好きな私にとっては

これほど素敵な場所は無い

 

だけど

一般的な人はこんな場所に住みたくなんか無いはずだ

 

車が無ければ生活出来ないような場所を見て

「わぁーーーここに住みたーい!」

なんていう人は

きっと心が疲れている人に違いない

 

 

それか

私同様の変り者

 

 

いつものように会社へ行こうと

雪が積もったカーブだらけの山道を車で慎重に下って行く私

 

この山道でスリップなんてしようものなら

あっという間に崖下に転落である

 

ガードレールなんて大層な物は無い!

あっても山と一体化して道路と水平になってるわ!

 

 

何度目かのカーブを曲がった時

 

車が停まっている事に気付いた

 

 

おや?

 

こんな山道を冬に走る車は非常に珍しいし

同じ方向に向かっている状態で

前の車に追い付くなんて事も珍しい

 

ブレーキを踏んで速度を落としながら

カーブを曲がり終えると

 

何が起きているのか分かった

 

 

どうやらこの山道を登って来ようとしたダンプが

スリップして登る事が出来ず

バックで元来た道に戻ろうとしているらしい

 

そして

私の目の前の車は

それによって完全に足止めされているのだ

 

あぁーーーなるほどなぁ!?

 

 

・・・あれ

 

これは私も足止め状態なのでは・・・?

 

 

山道は狭い

 

夏でも片側交互通行状態で

向かいから車が走ってきたら

どちらかが崖ギリギリのラインまで避けて停車するか

下手したらどちらかがバックで少し広い所まで戻る必要がある

 

 

なのに

今回は雪が積もった状態だし

バックしているのはダンプである

 

 

どうやっても横から通り抜けて行く事なんて出来ない

 

 

時計を確認する

 

大丈夫

 

冬は10~15分早めに家を出ているから

それまでにはここから脱出出来るはず・・・!

 

 

しかしこれ

バックしているダンプの後ろから車が来たらどうなるんだろう・・・?

 

 

頬杖をつきながら

スリップしながらもゆっくり必死にバックしていくダンプを眺める私

 

いやはや・・・

どうしてこんな凄まじい道を上がって来ようとしたんだか・・・

普通こんな場所通ろうとしないもんなんだけど・・・

 

 

私の前の車は

明らかにいら立った様子で

バックするダンプに詰め寄るように前進している

 

焦ったって仕方ないよ・・・

こんな道を通る事を選んだ君も悪いんだ

諦めたまえ・・・

 

 

いつしか私の後ろには

もう一台の車が現れていた

 

この光景を目の当たりにして引き返したい事でしょう

 

 

だけど

 

ここではUターンなんて出来ないし

バックで坂道を登って元来た道に戻る事も出来ないだろう・・・!

 

皆一緒に道連れだ!!!

 

四面楚歌!!!

 

 

10分ほどして

ようやくダンプが交差点まで進んだ

 

ただ

その交差点もアホみたいに狭い

 

どの道を選んでも片側交互通行状態だし

内2つはやっぱり強烈な坂道である

 

 

さぁどの道を選ぶのかな!?

上手に道を選ばないと今度はこの交差点から脱出出来なくなるぞ!

 

 

するとそこへ

 

一台のバンが現れた

 

バンから颯爽と飛び降りた男性は

走ってダンプに駆け寄り

運転手交代!

 

それまでダンプに乗っていた運転手は

ダンプから飛び降りて走って助手席に乗り込む

 

バンはバックして撤退!

 

どうやらダンプを運転していたのは若い男性で

年配の男性に救助要請の連絡でもしていたのだろう

 

熟練ドライバーの腕の見せ所である・・・!

 

 

ダンプは

 

最も細い道に勢いよくバックで入って行く

 

 

そうだね・・・!

安全な道に方向転換するにはそこしか選択肢無かったね!

 

だけどあまりにも幅がギリギリ過ぎて

きっとさっきまでのドライバーさんだと無理だったでしょう!

 

 

ようやくダンプを避けて進めるようになった私たち

 

アクセルを踏んで交差点を思い思いの方向へ曲がって行く

 

 

いやーやっと解放された!

 

15分くらいかかったなぁーギリギリ!

急いで会社へ向かわないとー!!!

 

 

それにしてもあのやらかしまくっていたダンプは

一体どこのダンプだったんだ・・・?

 

 

その時

 

先程熟練ドライバーを乗せてきたバンが

道路脇に停まっているのが視界に入った

 

 

・・・・・・・・・・えっ

 

 

 

うちの会社やん!!!!!!!!!!

 

 

 

バンの横には

見事に私の働いている会社の名前が入っている

 

 

あっ!!!!!!!!

 

えっ!!!!!!!?

 

 

じゃ

じゃああのダンプ

うちの人が乗ってたんですか・・・!!!?

 

 

マジかよ!

とんでもねぇやらかしだな!!!?

 

 

 

その日の夕方

 

 

工具で若い男性を殴ってしまった作業員の男性が

私の横をすれ違う時

 

 

工具「朝あれ分かったか?」

 

私「あっ・・・!あぁ・・・」

 

 

この人だったんか・・・!

 

多分この人が途中で運転手を交代した人で

バンを運転していたのが

この人の相棒のもう一人の年配の男性だろうな・・・!

 

 

相棒「お!

   ルカさんあんな強烈な所通って毎日通ってるのか!」

 

私「あはは・・・」

 

工具「よくあんな所通るな

   冬上がれるのか」

 

私「いや・・・案外いけるもんですよ

  慣れれば

  あれダンプ最初に運転してたのは・・・」

 

相棒「〇〇だよ!

   なんだ誰乗ってたか見えてなかったのか!

   反対から行けばよかったのに

   近道だからって通ろうとしたら登れなかったんだと!」

 

 

いや

あの・・・

 

ダンプの運転手だけが見えてなかったというか・・・

バンに乗ってたあなたたちの事も

バンにうちの会社の名前が入ってなければ

私多分永遠に気付いていなかったかと・・・!

 

 

私「あぁー・・・」

 

工具「そもそも反対からのルートだって

   途中で止まったらおしまいだからな

   あいつにはまだ無理だ

   明日から俺が運転してやんねーと」

 

私「あの先で何か工事入るんですか」

 

工具「そう

   てっぺんあたりだな」

 

相棒「あんな所人の住む場所じゃねぇわぁ!

   行くのしんどいもんなぁーーー!」

 

私「・・・・・・・・・・」

 

 

 

すみません・・・

 

 

そんな場所好き好んで住んでる私ですんませんんん!!!!!